「私たちの活動が乳がん患者さんの闘病生活を支える一助になれば…」
新しいビジネスの創造には開発ストーリーがあり、そこには多くの人々の心が豊かになり、素晴らしい笑顔を取り戻し、”幸福感“で満ち溢れるーそんなビジネスの一つに写真があります。1枚の写真には、様々な人生模様が存在し、いろいろな想い出が甦ってきますが、ある日の展示会で出会ったのが、プロのヘア&メイクとカメラマンが、女優やモデルのような『奇跡の1枚®️』をプロデュースするメイク&フォトスタジオでした。運営するのは、画像修正に頼らないヘア&メイクとフォトグラファーの撮影技術に加え、来店者たちの”素晴らしい笑顔“を引き出す人間力(会話力)を大切にして歩む式会社オプシス。アメリカの西海岸に誕生したビジネスモデルをもとにした、女性なら誰でも持つ変身やきれいに撮られたい願望を叶えてくれるメイク&フォトスタジオです。「私たちは、女性に美・写真・エンターテイメントが融合した写真文化によって喜びと幸福をもたらし、”夢と感動“を創造してきました。来店者の中には乳がん患者さんも増えてきており、いろいろな企業・団体・施設とのコラボによって、私たちの活動が乳がん患者さんの闘病生活を支える一助になれば…」と黒崎正子代表は話しています。多くの女性たの”美“と”笑顔“を生み出すドラマを演出し26年目になるメイク&フォトスタジオの今日までの軌跡は?そしてどのような活動をされているのでしょうか。黒崎さんにお聞きしました。
(取材・文◎『週刊がん もっといい日』編集長 山本武道)
■フォトビジネスに取り組んだきっかけ
オプシス(0PSIS)とは、ギリシャ語で「顔」を意味するそうですが、まさにフォトビジネスに取り組む企業にふさわしいネーミングです。東京都千代田区有楽町という一流立地に25年間にわたりフォトスタジオを運営してきたオプシスのオーナーである黒崎さんが、このビジネス取り組んだのは、果たしてどのようなきっかけだったのでしょうか?
「日米のコンサル業務に携わる中で、アメリカの西海岸で33年前に、モデルにもなれるというコンセプトでフォトビジネスが誕生したことを知り、日本に上陸させ、定着させようと試みたのですが、なかなか思うようにゆきませんでした。むろん当時の写真はデジタル化されるずっと前のアナログ全盛期でしたが、美しくなるには年齢に関係ないし、なんとかして日本の女性たちを喜びと笑顔で満ち溢れるようにしたいとの思いを実現するために、思い切って自分で起業したことが発端でした」
■1997年に創設して26年後の今
オプシス創設26年目の今、フォトスタジオは現在、1997年にオープンした有楽町の日比谷シャンテ地下1階の本店を始め、東京駅前の大丸東京店、大阪梅田店(阪急17番街6F)の3店舗。取材は本店に行き、まずは作品集を拝見させていただきましたが、有楽町には帝劇や宝塚劇場がありますから、思わず「作品は、本物の女優や舞台俳優の方々ですか?」とお聞きしました。
「違います。すべて一般の方たちです」
「え〜、そうなんですか」
作品は、女優や舞台俳優と見間違えるほど、髪型も服装も素晴らしい笑顔が満載でした。その笑顔を生み出すのは、来店者のために提供するヘア&メイク技術にフォトグラファーの撮影テクニック、笑顔を引き出すスタッフたちの会話力(接客力)に加えて、私は黒崎さんとスタッフさんの“笑顔”と“心”にあると思いました。
「オプシスでは、ヘアメイク+カメラマン+お客さまの三位一体により撮影する“フォトセッション”で、作品(奇跡の1枚®️)が作り上げられると考えています。主軸となる変身写真は、専属のヘア&メイクアーチストによって撮影用にこだわり、立体感のある表情に仕上げたうえで体型に合わせてオーガンジーや布を駆使して上半身をドレスアップし、好みの色や形で利用できます」
40代から90代女性たちの変身ビフォアとアフター作品集も拝見しましたが、本当に「え〜この年代の人たちが…」と思えるほど、1枚の写真がどれほど女性たちの望みを叶えさせてくれるのか。その証拠はプリントされた素晴らしい笑顔にありました。きっと、ご本人もさることながら家族も満足されたことでしょう。
このフォトスタジオでは、さらに母と娘とのツーショットフォト、頑張ってきた自分へのご褒美に明るくポジティブで美しくありたい女性のためのフォト、シニア女性を応援するフォト、宝塚風になりきりフォト、かつてハリウッドで活躍した1950年ごろの人気女優たちのようなクラシカルなフォトを撮影する各種メニューも用意されています。
■東北被災地のシニア女性や高齢者施設で変身イベント開催
黒崎さんとスタッフは、フォトスタジオで来店される人たちを待つだけでなく、東北の被災地を訪れてイベントにも参加しました。
「6年にわたり東北被災地へ出向き、仮設住宅に住むシニア女性、高齢者施設も訪問し、変身イベント活動も続けてきました。『また来てくれたんだね』と笑顔で声をかけてくださる方たちとの出会い、がん患者さんのためのボランティア活動をされておられるお医者さまとの出会いもあって、ピンクリボン郡山の乳がん診断啓発活動にも参加してきました。もちろんビジネスも重要ではありますが、被災地の方々の笑顔と、このときに培った人々との絆は、私たちにとってかけがえのない宝物なのです」
そして新型コロナの発生。最近では、少しずつ罹患者数は減ってきましたが、黒崎さんが運営するフォトスタジオも少なからず影響を受けました。「多くのマスコミの取材に応じてきましたので、かつてはたくさんの方々がこられましたが、正直言いましてコロナ禍によって、私たちのフォトスタジオは縮小気味でした。しかし長い間に交流を続け、笑顔になっていただきたいという私たちの想いが伝わり、この3月は予約で埋まっています」
■「ドラッグストアや調剤薬局との提携も考えたい」
黒崎代表との出会いは、女性のヘルスケアを中心とした展示コーナーが併設された健康博覧会でした。この種の展示会では、フォトスタジオの出展は、皆無といって良いほど見かけることはありませんでしたが、『週刊がん もっといい日』編集部としては、がん患者さんのケアに結びつく用品とサービス分野を取材しておりましたから、「そうだ、写真も関連がある」と思い、声を掛けたのが始まりです。
多くの取材活動を通じ、特に健康に関わる相談に対応するドラッグストアや調剤薬局に、「がんのケアコーナー」の開設を呼び掛けてきたことを黒崎さんに話したところ、「私たちのフォトスタジオにも、乳がんに罹患された方たちも増えてきました。来店されるお客さまが、ご自分の笑顔と変身した写真を残したいという現実を見て、ピンクリボン郡山のイベントに参加しましたが、患者会や地域の福祉関係者の方々から声をかけてくだされば積極的に出向きたいと考えております。それに地域住民の健康サポート役として活躍されているドラッグストアや調剤薬局との提携も考えたいと思っています」との答えが即戻ってきました。
「入院前や手術前、乳がん患者さんの場合は、乳房がなくなる可能性もありますし、頭髪も抗がん剤の副作用によって抜けてしまうかもしれません。ですからその前に、きれいな写真を撮影していただきたいとご来店されるのですが、美しくなったご自分の写真を見て、前向きにがんと闘おう、退院したらまた撮影してもらいたいと言ってくださる。私たちがお役に立つことができれば、こんな嬉しいことはありません。
心の病をお持ちの方等々、外出したくないという女性たちが、変身してきれいになったご自分の1枚の写真で笑顔を取り戻し、外出する勇気を持っていただけるようになったり、中には、撮影後に当スタジオに来られて、ご自分の写真を見てスタッフと話をして大きな声で笑われたり…。私たちも、とてもハッピーな気持ちになります」
<取材を終えて>
アメリカで誕生したフォトビジネス。黒崎さんは、フォトスタジオで生み出された1枚の写真を『奇跡の1枚®️』と名づけました。きっと多くの女性たちに感動と笑顔、幸福感で満ち溢れるようになることを意味しているのかもしれません。わたし自身は、1枚の写真が持つ意味は大きく、健康寿命延伸産業振興の一翼を担いヘルスケア(予防)最前線に立つドラッグストアや調剤薬局とのコラボレーションに「大いに可能性あり」と思いました。ちなみにオプシスが運営するメイク&フォトスタジオのURLは、https://opsis.co.jp 。