がん患者さんと家族のためのWEBサイト

9月15日 温もりインタビュー

再び出逢った西川きよしさんとヘレンさん、そして長男の忠志さんも加わり

『がん患者を家族がサポートする心得』を聞く

 「どうも様子がおかしい」―夜中に、きよしさんがトイレに行く回数が多いこと気づいたヘレンさんが、「一度、お医者さまに見てもろたらどうですか?」と背中を押して医師への受診を進めて2015年に見つかった前立腺がん。進行症状を自覚しなかったり、歳のせいだと見過ごしたりするケースが少なくないことから、2021年から『医師への相談をおくらせない手紙キャンペーン』を始動した製薬企業のヤンセンファーマは、今年度も前立腺がん啓発のための『知ろう! 学ぼう! 医師への相談をおくらせないための心得』と題したトークイベントを開催しました。イベントは、専門医、がん患者会、アンバサダーの西川きよしさんとヘレンさんご夫妻、そして長男の忠志さんも加わり、症状を自覚している人たちへ早期に受診行動を促すために行われたものです。そこで『週刊がん もっといい日』編集部では、再び出逢った西川きよしさんとヘレンさんに、そして長男の忠志さんに、『がん患者を家族がサポートする心得』をお聞きしました。

          西川きよしさん(右)、ヘレンさん(中)、長男の西川忠志さん(左)

日常生活で予防を心掛けていること

 ー西川さんは、ヘレンさんの後押しで医療機関に行き前立腺がんが見つかりました。まさに早期発見・早期治療ですね。そして、治療後、大切なことは再発や転移をしないようにする三次予防が重要になります。もちろんご家族の協力も不可欠です。現在は、予防についてどのようなことを心掛けておられますか?

 ヘレンさん 現在も3か月に一度は、お医者さまの診察を受け、検査もしていただいたりしています。大切なことは、通院を休まないことが大事なことと私は思っています。今では主人は、自分で次の診察日を予約してくるようになりましたので、とても安心ですね。

 人間は、症状が良くなると、つい「もうこれでいいや」と思ってしまいますが、実はここに落とし穴があるのではないでしょうか。その点、主人はお医者さまの診察の際に、いろいろと話をするようにしてくれています。このことも大切だと考えております。 

 ―家族で患者さんをサポートすることが、本当に重要だなと思います。

 ヘレンさん 本人から、がんが良くなったよといわれ、そうそれは良かった、良かったと他人事のようないい方をしていると、突然、あれっと思った時に、がんは進行していることもあるので、恐れずにお医者さまの診察を続けていくことが、がん患者さんとご家族には大切なことですね。

 きよしさん 衣食住の世話はすべて家内がしてくれるので、若い時に比べて脂っこい食事に気をつけ、野菜を十分に摂る食生活を心掛けています。それに家内が、「早く寝なさい」と言ってくれるので、私にとっては睡眠が予防のため欠かせないですね。

 若いころは、けっこう無茶苦茶な生活をしていましたが、仕事がぎょうさんきたり、どうしても夜更かしをしたりするなんて生活が続いたこともあったし、でもがんにかかってからは、食事と睡眠と、それに最近はよく散歩をするようになりました。

 ヘレンさん がんになってからは多めの散歩、1時間はしていますので、多い時には2時間を超す時もあります。

 きよしさん 2時間も歩いたらヘトヘトになっちゃうけど、でもようけい歩くようになったのはヘレンのお陰。今、僕がこうして元気にいられるのは、僕が夜中にトイレに行く回数が多かったことで、「お医者さまに行ったら・・・」と背中を押してくれたのもヘレンがいたからです。ありがとう。

 忠志さん 実際に父の辛い姿を見てきましたから、医師への相談をおくらせないためのメッセージを世界中に発信していきたいと思っております。世のなかには、たくさんの前立腺がんの予備軍の方、実際にかかられた方のご家族に、父が元気に活動している姿を見ていただいたことによって、「元気をもらいました」とたくさんの手紙をいただきました。

 とくにコロナで緊急宣言が出てなるべく外出しないようとのことでしたが、そこで何か自分もできないか考えた時に、インスタグラムで日本中にラジオ体操を呼びかけようと思いました。そのため父も一緒に体操する元気な姿を見ていただき、「皆さん 体操をやりましょう」と、毎日動画をアップしてきました。

 当初は、僕の子供たちも見よう見まねでやり、しかも父も一緒に体操している動画を見たたくさんの方々の輪をさらに広げていきたいですね。それこそ世界中にも発信できますし、世界の方々が見てくださって「ものすごい元気をもらった」「私も同じような病気だったけれども勇気をもらった」となればいいなって思っています。

 ヘレンさん 主人は、最近では第一体操だけでなく第二体操もできるようになっているんですよ。

 忠志さん 大切なことは、がんになったといって自分が病人側になるんじゃなくて、「今こうして元気ですから、皆さん元気でいてくださいね」など、患者さんご本人が逆にパワーの発信者になれることも良いことだと思っています。

 きよしさん 前立腺がんの手術が終わり元気を取り戻したときに考えたことは、「マイナス思考ではいけない」でした。じゃあ何から始めようかと考えたところ、子供たちが「ラジオ体操からやってみたら・・・」と言ってくれました。やはり家族がいて、私とヘレンを支えてくれたことに感謝する日々です。

 ヘレンさん 早期発見・早期治療、そして転移や再発をしないようよう、定期的にお医者さまの診察をうけ、日常生活での食事、運動、睡眠を心掛けてほしいと思います。

 ―きよしさん、ぜひこれからも日本国中の皆さまへ、ヘレンさんとともに元気をお届けしていただき、そして忠志さんも世界中に元気を発信してください。

                      ◇

 ヘレンさんと忠志さんが提示された『医師への相談をおくらせないための家族・周囲の心得』は、「①本人にとってベストな伝え方を事前に理解しておくことが大事!②自分だけでなく他の家族や周囲も巻き込んだチームプレイで後押しする!③家族からも気になることがあればちゃんと医師に伝えよう!」、そして、きよしさんからの『医師への相談をおくらせないための家族・周囲の心得』は、「何よりも行動に移すことが大事~前立腺がんの症状を歳のせいだと見過ごしたり、我慢したりせずに医師に相談を!」です。

        (インタビュアー◎『週刊がん もっといい日』山本武道

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