がん患者さんと家族のためのWEBサイト

がん体験を通じ食事にバリアを実感した元看護師が仲間と開発した患者さんに優しいカトラリーのこと

 「Femtech(フェムテック」―聞きなれない言葉ですが、Female(女性)+Technology(テクノロジー)によって、日常生活における女性の生理・月経、妊活、妊娠期・産後、プレ更年期・更年期といった様々な課題を解決するためのサービスと製品のことを「Femtech」 と呼び、ヘルスケアビジネス業界で注目を集めています。
 近年では、ヘルス関連の展示会やセミナーで取り上げられるようになり、その市場は調査会社のAbsolute Markets Insightsによれば、2027年に5兆7000億円にまで成長すると見られていますが、この2月8日〜10日にかけて開催された健康博覧会の一角に、これまで注目されてこなかった女性特有の健康に関わる悩みやニーズに対応した製品やサービスが紹介されていた中に、がん患者さんと家族に向けた製品を見つけました。
 その一つに、自身のがん体験を通じ食事にバリアを実感した元看護師が、同じ悩みを抱える仲間とともに設立した猫舌堂が来場者にアピールしていたのが、食卓用のナイフ・フォーク・スプーンなど『いいさじ加減のいいサジー』とネーミングされたカトラリー。「がんの手術や治療などによって、食べることに悩みを抱えた時に、食べられないことよりも一緒に食べられないことがつらかった。だからこそ、徹底的にこだわったデザイン。食べることに悩みがあってもなくても、食事の時間を楽しんでいただけるようにと願いを込めて…」とデザインされたものです。

患者さんに優しいカトラリーを開発した猫舌堂
代表の柴田敦巨さん

 「舌がんの手術後は、咀嚼と嚥下が自分で思うようにできず不自由だったのですが、こちらのスプーンは口の中で処理できるちょうど良い量を口に運べるので食べやすい」等々、悩む人たちから喜びの声が寄せられている同社オリジナルのカトラリー。

 「がん治療を経験して初めて感じた食べることへのバリア。その一つがカトラリーでした。100種類以上を試したけれども、どれも何かが違う。なければ作っちゃえということで、同じ悩みを抱える仲間と一緒にデザインしました。私たちには、ほんのちょっとの違いが大切なのです」―会場でいただいたパンフレットには、猫舌堂代表の柴田敦巨(しばた あつこ)さんとスタッフの笑顔とともに、開発したコンセプトが記されていました。
詳細は、同社のHP(https://nekojitadou.jp/pages/about_us)で。
さて今週もまた、皆様にとって「もっといい日」でありますように…。
『週刊がん もっといい日』編集長 山本武道

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