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がん患者さんのアートとエッセイで表現する『リリー・オンコロジー・オン・キャンバス がんと生きる、わたしの物語』コンテストの素晴らしい優秀賞と受賞作品

 がん患者さんのアートとエッセイで表現する『リリー・オンコロジー・オン・キャンバス がんと生きる、わたしの物語』コンテスト(日本イーライリリー主催)で、最優秀賞(各部門1名)3作品をはじめ優秀賞(各部門1名)3作品、入選(各部門2名)6作品の12点が選出されました。
『週刊がん もっといい日』では、5月14日付でのニュース&トピック欄で最優秀賞3点(絵画・写真・絵手紙)エッセイを紹介(https://weekly-gan.com/641/)させて頂きましたが、引き続き“今週の焦点”欄で、素晴らしい優秀賞の作品とエッセイ、入賞者作品を掲載しましょう。
 ちなみに最優秀作品とエッセイは、https://weekly-gan.com/641/ を参照ください。

<優秀賞の作品とエッセイ(抜粋)> 

◇絵画部門:關根満理奈さん<東京都文京区>『おかあさん ありがとう』


私は、高校の在学中に上咽頭癌を発症しました。初めて診断を受けた日も、その後の通院も、母は仕事を休み、落ち込む私にずっと付き添い支えてくれました。母はどんな時でも私を励まし、不安定な気持ちに寄り添ってくれていました。

その翌年に転移があり、そう遠くないはずの高校への通学も困難になりました。母は思い立って車を買い、慣れない道路を運転しながら、私を高校まで送迎してくれました。

19歳になり、幸いにも病状が落ち着くと、私は生まれて初めてアルバイトを経験しました。この花束は、そのお給料で買った母の日のプレゼントです。

小さい頃から、母が好きだと言ってくれた私の絵で、長年に渡る母への感謝の気持ちを表しました。絵の中の花が、母への感謝の気持ちや、支えてもらった思い出と共に、忘れることがないように、朽ちることのないようにと思いを込めて描きました。

発症から7年経った去年、私は当時の同級生達よりもうんと遅れて、大学に入学することが出来ました。おかあさん、ありがとう。

◇写真部門:長谷川ゆいさん(神奈川県横浜市)『はじめて並んで歩いた日』

父ががん宣告をされてから数年後、私は父に最初で最後の我儘を言った。

「バージンロードを歩いてほしい」

父は目立つことを嫌い、自分のペースを崩されることを嫌う人だった。背中を追いかけて過ごした二十数年間。言葉数少なく、干渉せず、この距離感が私たち親子なのだと自分に言い聞かせてきた。だけど一度くらい親子らしく父と並んで歩きたい、そう思った。

その日は11月にしては暖かい日だった。おかげで父の体調もいつもより良く、無事結婚式に出席することができた。緊張でお互い言葉を発しないまま、ついにその時が来た。チャペルの扉が開き、パイプオルガンの音色が聴こえてくる。時間にすれば1分にも満たない短い時間だったが、十分だった。

次の日改めて父にお礼のメールをすると、「バージンロードを歩かせてくれてありがとう」と返ってきた。我儘を言ってよかった。気持ちを知ることができてよかった

隣を歩けてよかった。お父さんの子でよかった

◇絵手紙部門:奥村宏美さん(滋賀県大津市)『大丈夫』

令和三年の晩秋の頃、義息子が再生不良性貧血で緊急入院することになりました。主治医からは白血病に進行する恐れもあると言われ、生後半年の乳飲み子と小学3年の子を抱え不安を抱く娘を「大丈夫大丈夫」と、ハグをすることしかできませんでした。三カ月の入院生活を終え無事に退院することができました。無菌室の四角い病室で辛い治療に耐え、日々成長する愛娘を抱くことさえ許されず自分との戦いに頑張ったと思います。

義息子の入院から遡ること一年半前の令和二年、主人が慢性骨髄性白血病と告知されました。私が一番苦しかったのは、高齢の両親に打ちあけることでした。気が動転する私を「絶対に大丈夫やから」と励まして背中を押してくれたのは娘でした。

主人は一ヶ月ほどで退院することができましたが、皮肉にも義息子と主人が同じ病院の血液内科に通院することになるとは思いませんでした。辛いことが続きましたが主人も義息子も定期的に検診を受け現状維持で、日常の生活を送っています。

【入賞】 
◇絵画部門:伊藤理恵さん(神奈川県横浜市)『再生した私』/寺﨑ひなたさん(福岡県福岡市)『また逢う日まで』

               『再生した私』(上)『また逢う
                日まで』(下)

◇写真部門:山﨑広実さん(大阪府大阪市)『自然の命とわたしの生命(いのち)』村田昂平さん(栃木県塩谷郡)『家族』

           『自然の命とわたしの生命』(上)『家族』(下)
                      

◇絵手紙部門:齊藤紘子さん(神奈川県横浜市)『あなたの分も生きていきます』/内藤 三枝子さん(東京都大田区)『「おいしいね」と言える幸せ』

              『あなたの分も生きていきます』(上)
              『「おいしいね」と言える幸せ』(下)

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