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第13回『リリー・オンコロジー・オン・キャンパス がんと生きる、わたしの物語』の最優秀賞に大栗典子さんら3作品が受賞

 がんと告知された時の不安や、がんと共に生きる決意、がんの経験を通して変化した生き方などを作品とエッセイで表現し多くの人と想いを分かち合う『リリー・オンコロジー・オン・キャンバス がんと生きる、わたしの物語』(日本イーライリリー主催)の受賞作品が発表されました。


 リリー・オンコロジー・オン・キャンバスとは、アート制作に打ち込むことが患者さん自身やその家族にとって、気持ちを整理して人生や病気に向き合うきっかけとなることを願い、日本イーライリリーによって2010年に創設されたものです。
 13回目となる今回の募集テーマは『がんと生きる、わたしの物語』。109点(絵画部門 36件・写真部門35件・絵手紙部門38件)の応募作品が寄せられ、審査員の岸本葉子さん(エッセイスト)、堀 均さん(日本対がん協会がんサバイバークラブ)、西村詠子さん(NPO法人がんとむきあう会理事長)、森香保里さん(四国こどもとおとなの医療センターアートサイコセラピスト) 、亀山哲郎さん(フォトグラファー)によって、最優秀賞に絵画部門の大栗典子さんの『キラキラゆらゆら悔いなく自分らしく』、写真部門(岩岡典子さんの『焼きおむすび』)、絵手紙部門(岡本唯嗣さんの『看護師達』)の3名のほか優秀賞3名、入賞6名の計12名が選ばれました。
 受賞イベントは、6月16日にオンライン形式で開催(後援:厚生労働省、公益財団法人日本対がん協会、兵庫県、神戸市、大阪市)されます。イベントを主催した日本イーライリリー執行役員の小嶋毅彦さんは、イベントについて次のようにコメントしています。
 「リリー・オンコロジー・オン・キャンバスは、この度13年目を迎えることができました。受賞者、審査員、そして応援頂いているすべての皆様に感謝を申し上げます。本コンテストの作品とエッセイは、“がんと共に生きる”姿勢や想いがこめられ、そこからは感動や勇気を与えてくれます。日本イーライリリーは、一人ひとりの患者さんや支援者の皆さんを繋げる“場”を今後も提供し、がんになっても自分らしく生きられる社会の実現に向け、これからも皆さんと歩んで参りたいと思います」

<受賞者一覧>
最優秀賞作品とエッセイ(抜粋)

絵画部門:大栗典子さん(大阪府高槻市)『きらきらゆらゆら悔いなく自分らしく』
 がんは宣告された時よりも、再発・転移の時の方がショックは大きいといわれます。私もその通りでした。一昨年、乳がん初

発から五年後に多発骨転移が見つかり、治ったつもりで過ごしていた日常は一変。病気のことを考えるうち、食欲が失せ体調がどんどん悪くなり、一日中引きこもる日が続きました。
 半年ほど経った頃、曽爾高原へ行こうと友達が誘ってくれました。一面が金色銀色に染まった丘は、風が吹くたびにススキが生き物のように右に左に揺れます。きらきらゆらゆらの風景を心ゆくまで楽しみました。
 この旅をきっかけに私は少しずつ落ち着きを取り戻していきました。私に残された時間はわからないけれど、がんの治療は日進月歩!きらきらゆらゆら、自由に悔いなく、これまで通りの日常を送ろうと思えるようになりました。
 私にとって再発は再出発、いのちと向き合う機会をいただけました。私の周囲にもがんを宣告された人がポツポツと現れ始めました。アドバイスを求められたら、長い目で治療を考え、今を楽しもうと励ましています。

写真部門:岩岡典子さん(東京都中央区)『焼きおむすび』
 49歳、会社員、独り暮らし。自分は別段思い残す事もなく、いつ死んでもいいやと日々何気なく思っていた。そう、がんが見つかるまでは…。がん告知から手術までは、3ヶ月だった。私の心は一転して、最悪なシナリオを考えるようになり、泣き崩れ、絶望を味わった。
 手術を受ける事の恐怖と対峙しつつ、凡そ1ヶ月を経て、治療を受け入れる祈りに似た前向きな心境になれた。入院の準備も当然誰もしてくれない。入院1週間前には、退院後に向けた準備を始めた。切除具合によっては、しばらく手が使えないかも知れない。買い物にも出られないかも知れない。
 そうだ、今のうちに「おむすび」をたくさん作って冷凍しよう。その時、いつの間にか生きていく方向に大きく舵を切っている自分にはっとした。何度も繰り返し「おむすび」を焼く。そんな事がこれほど希望に充ちた行為に思えたのは初めてだった。この先、心に軋みを感じたら、きっと私は「おむすび」をたくさん焼いて、あの時の感覚を呼び起こすだろう。

絵手紙部門:岡本唯嗣さん(奈良県奈良市)『看護師達』
 小学校低学年の頃、死んだら、二度と目が覚めることがない、感じることも、考えることも、ない。その虚無感に胸をいためることがありました。最後には、せめて、生きている間は、命をそまつにしないでようと思いました。生きていることが、貴重

でかけがえのないものか十分、わかっていたのに。
 胃癌の手術後、目が覚めた時、息が吸えない、絶望的地獄の苦しみ、麻酔から覚めないで、死んで、なにも無いほうが、よいと思いました。呼吸ができない。酸素酸素、やっと、声が出ました。「酸素をください。」叫びました。
 看護師さんが「酸素たりてますよ」と応えてくれました。この苦しさは呼吸でないことが理解できました。気持が少しらくになりました。ただただ、耐えればよいと言うこと、ありがたい返答でした。 
 あのまま、目が覚めない方がよかった。などバチあたりな考えに、われながら、だめな人間だと思います。一生懸命、手術をしてくださった先生や力を貸してくださった方々に申し訳ない気持ちと感謝でいっぱいです。

優秀賞(作品とエッセイは次号の5月18日に掲載します)
◇絵画部門:關根満理奈さん(東京都文京区)『おかあさん ありがとう』
◇写真部門:長谷川ゆいさん(神奈川県横浜市)『初めて並んで歩いた日』
◇絵手紙部門:奥村宏美さん(滋賀県大津市)『大丈夫』

入賞(作品のみ次号の5月18日に掲載します)
◇絵画部門:伊藤理恵さん(神奈川県横浜市)『再生した私』/寺﨑ひなたさん(福岡県福岡市)『また逢う日まで』
◇写真部門:村田昂平さん(栃木県塩谷郡)『自然の命とわたしの生命(いのち)』/山﨑広実さん(大阪府大阪市)『家族』◇絵手紙部門:内藤三枝子さん(東京都大田区)『あなたの分も生きています』/齊藤紘子さん(神奈川県横浜市)『「おいしいね」と言える幸せ』

“すべてのがんサバイバーに笑顔”をスローガンにメイクをして撮影しポスターに仕上げ社会に発信するイベント『LAVENDER RING AICHI 2023 MAKE UP & PHOTOS with SMILES』の参加者を募集中

 がんになっても笑顔で生活できる社会の実現を目指して、様々な活動を有志によって運営するプロジェクト”LAVENDER RINGは、“すべてのがんサバイバーに笑顔”をスローガンに、6月24日に名古屋市内の愛知県がんセンターで開催される、メイクをして撮影しポスターに仕上げ社会に発信する参加型のイベント『LAVENDER RING AICHI 2023 MAKE UP & PHOTOS with SMILES』の参加者を募集しています。

 募集人員は11名(定員を超えての申し込みがあった場合は選考)で、応募締切りは5月26日(金)15時まで。参加対象者は、がんを経験したことのある全ての方。選考結果は6月2日までに 当選者のみメールで連絡がきます。にてお知らせします。
 参加要件は、自身でメイクアップが可能な方、企画主旨に賛同し写真掲載やインタビュー動画撮影に同意していただける方、「個人情報の取り扱い」について同意していただける方、参加前後でアンケートに協力いただける方、当日愛知県がんセンターまで来ることができる方(交通費は参加者負担)
<当日の流れ>
(1)受付10分前より受付開始(撮影に関する同意書の説明と署名)
(2)メイクアップ個別レッスン(時間:最大40分)※マスクをはずして行います。
メイクスタッフのアドバイスをもとに自身でメイクアップを仕上げます。(丁寧にひとつずつ伝えますので安心して参加ください。日頃のメイクアップに対する困りごとがあれば気軽に相談ください)
(3)ヘアセット、撮影前メイクアップサポート※一部マスクをはずして行います。美容室スタッフやメイクアップアーティストによるヘア&メイクアップで撮影メイクアップに変身させます。
(4)メッセージ記入ご自身がいま一番打ち込んでいることや、夢中になっていることをメッセージとして画用紙に記入。写真と一緒にポスターに仕上げます。
(5)写真撮影※マスクをはずして行います。フォトグラファーが、個性や魅力を引き出した世界で1枚の写真を撮影します!
(6)インタビュー(動画撮影)ポスターが仕上がるまでに・・・※マスクをはずして行います。「がんの告知を受けてから変わったことや感じたこと」 「これから熱中して取り組みたいと思っていること」「がんとの接点のない他の方々につたえたいこと」などをインタビューさせていただきます。
(7)ポスターお渡し撮影されたポスターは、今後開催されるLAVENDER RING写真展やホームページなどに掲示させていただきます。
 詳細は、https://www.cancernet.jp/lr-aichi20230624で。

もしも、あなたが・・・がんを知らないとジャッジもチョイスもできない
札幌市図書・情報館が主催し520日に「がんと働く」を考えるイベント
 年間で90万人ががんと診断される時代。自分が、家族が、身近な人、職場の人ががんになったとき、どうすればいいのでしょうか? HTBのディレクターとして20年以上乳がん患者の取材を続け、自身も乳がんにり患。『おっぱい2つとってみた がんと生きる、働く、伝える』を出版したHTB社員の阿久津友紀さんと出会った患者女性たちが語り合います。
 「がんになったとき仕事を辞める必要はない」「上司がキーパーソン」をキーワードに、どうすればがん患者さんが生きやすい社会になるか、具体的に考えていきます。雇用期間の延長で働く世代のがん患者は増える一方。中小企業の人事担当者や家族に患者を持つ方などあらゆる人と『どうすれば』を話します。
 詳細は以下の通り。
■開催日時:2023年5月20日(土)13時半から15時30分
■リアル会場:札幌市民交流プラザ1階SCARTSコート(札幌市中央区)
■オンライン:50名
■登壇者:阿久津友紀(HTB・北海道テレビ東京支社編成業務部長)
 ピンクリボン活動や乳がん患者取材がライフワーク 46歳で乳がんにり患。自らの体験をカメラに収め、ドキュメンタリーを制作、国内外で評価を受ける。2022年10月に「おっぱい2つとってみた がんと生きる 働く 伝える」(北海道新聞社)出版。厚生労働省 がん対策推進協議会委員 がん研究のあり方有識者会議構成員/藤原紗矢郁(北洋銀行 ローン統括部調査役)44歳で乳がんにり患。人事部が長く産業カウンセラー・国家資格キャリアコンサルタントを保有/藤原紗矢郁(北洋銀行ローン統括部調査役)44歳で乳がんにり患。人事部が長く産業カウンセラー・国家資格キャリアコンサルタント保有/関谷繭子(えにしテックデザイナー)42歳で乳がんにり患。リモートワークで治療を乗り切る。
■参加費:無料(事前申し込み制)
■申込締切:5月19日(金)17時まで
■主催:札幌市図書・情報館 札幌市芸術文化財団 
■共催:HTB北海道テレビ 
■後援:日本対がん協会

2023希少がんセミナー【希少がんMeet the Expert】第15回開催のお知らせ
■開催日時:2023年5月19日(金)18時30分〜19時30分(18時開場)
■開催形式:Zoomウェビナー
■参加費:無料(事前の申込みが必要)
■申込先:https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_xDAMVHbvRYmD9r6t9jiKfA
■申込期限:2023年5月19日(金)当日まで可
■主催:国立がん研究センター 希少がんセンター・希少がん中央機関
■詳細:https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/event/20220808/0112/index.html

520日に『メラノーマを知る・学ぶ・聞く 2023
〜ミート・ザ・エキスパート! 専門医に聞いて見よう〜』
■開催日時:2023年5月20日(土)13時〜15時
■開催形式:zoomオンライン
■参加費:無料
■対象:患者さんはじめ当会の活動に賛同いただける方はどなたでもご参加いただけます
■申込先:https://melanoma-net.org/information/mte20230520/ 
■主催:メラノーマ患者会 Over The Rainbow
■共催:国立がん研究センター 希少がんセンター・希少がん中央機関
■協力:がん情報サイト「オンコロ」
■詳細・プログラム:https://melanoma-net.org/information/mte20230520/

CNJとアストラゼネカ共催の卵巣がんWEB市民講座『卵巣がんと共に歩む〜治療、アピアランスケアの理解を深める』がオンラインで5月27日に開催
 キャンサーネットジャパンとアストラゼネカ共催による卵巣がんWEB市民講座『卵巣がんと共に歩む〜治療、アピアランスケアの理解を深める』が、5月23日にオンラインで開催されます。
 「卵巣がんおよびアピアランスケアの専門家からのレクチャーに加え、治療に対する理解を深めるためのポイントやアピアランスケアの実情をテーマに、患者さんを交えたトークセッションも実施します。手術や薬物治療において、専門医がどのような考えに基づいて治療選択を行っているのか、アピアランスの悩みにどう対処したら良いのかなど卵巣がんに対する理解を深めていただく内容です。卵巣がんの治療をしている、家族が卵巣がんになったなど卵巣がん治療に関心のある方は、この機会に是非参加ください」(主催者)
 登壇者は、本橋卓さん(東京女子医科大学婦人科)、藤間勝子さん(国立がん研究センター中央病院 アピアランス支援センター長)、吉田ゆりさん(がんと働く応援団代表理事 卵巣がんサバイバー), 増田美加さん(女性医療ジャーナリスト トークセッションファシリテーター)。

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