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「“ガンと闘う”のではなく、“ガンと生きる”」―素晴らしい文章を綴られた音楽家の坂本龍一さんが逝去されました

「わたくしども所属の音楽家/アーティスト 坂本龍一が去る2023年3月28日71歳にて永眠いたしました」―2023年4月2日、株式会社キャブエイベックス・エンタテインメント株式会社のオフィシャルサイトに次のような文章が綴られていました。

 「2020年6月に見つかった癌の治療を受けながらも、体調の良い日は自宅内のスタジオで創作活動をつづけ、最期まで音楽と共にある日々でした。これまで坂本の活動を応援してくださったファンのみなさま、関係者のみなさま、そして病気治癒を目指し最善を尽くしてくださった日米の医療従事者のみなさまに、あらためて深く御礼申し上げます。
 坂本自身の強い遺志により、葬儀は近親者のみで済ませておりますことをご報告いたします。また、弔問、ご香典、ご供花につきましても謹んで辞退申し上げます。
 最後に、坂本が好んだ一節をご紹介します。
Ars longa, vita brevis. 芸術は長く、人生は短し」

3月28日に亡くなられた坂本さんは71歳。坂本さんの逝去を配信したマスコミ各社によれば、3人組バンドのYMOを結成し様々な世界的なヒット曲を世に出し、アメリカ映画『ラストエンペラー』でアカデミー作曲賞、自ら出演、音楽を担当した日英合作映画『戦場のメリークリスマス』(83 年)で英国アカデミー賞音楽賞などを受賞する一方、2014年に発症した中咽頭がんを公表したものの寛解。その後、2006年に直腸がんと診断されたそうです。

 坂本さんは6度にわたる手術を受けることになりますが、こうしたがんとの闘病生活を詳細に綴った文章は、2022年7月から始まった文芸誌『新潮』の連載『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』に掲載されています。以下を参照ください。
https://www.bookbang.jp/article/733536

 「2021年1月の手術の直後に、ぼくは『これからは“ガンと生きる”ことになります。もう少しだけ音楽を作りたいと思っていますので、みなさまに見守っていただけたら幸いです』というコメントを発表しました。“ガンと闘う”のではなく、“ガンと生きる”という表現を選んだのは、無理して闘ってもしょうがない、と、心のどこかで思っているからかもしれません」

 坂本龍一さんは、世界の音楽愛好家に素晴らしいミュージックを残しただけでなく、“がんと共生”する多くのがん患者さんにも、素晴らしい文章を残されました。坂本さん、心の底から感謝を申し上げます。合掌。(文・山本武道)    

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