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上尾中央総合病院、手術支援ロボットを用いた中咽頭がん切除術を実施し経過良好であることを報告

医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院(所在地:埼玉県上尾市、院長:徳永 英吉)は、「がんを確実に切除すること」「極力機能を温存すること」両立の可能性をより一層高めるため、中咽頭がんに対する手術支援ロボットを用いた経口的切除術(Transoral Robotic Surgery ; TORS)を2022年12月から開始し、術後経過が良好なことを報告しました。
同病院によれば、中咽頭がんについて次のように説明しています。
「中咽頭がんとは、扁桃や舌の付け根、口蓋垂(いわゆる“のどちんこ”)のあたりにできるがんを指します。中でも扁桃にできるものが多い傾向にあり、日本では、毎年2万4千人ほどが中咽頭がんと診断されます。原因は、過度の喫煙や飲酒、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染に大別されます。HPV関連がんの多くが、p16タンパクを過剰に産生する(陽性となる)ため、治療にあたっては、p16陽性かp16陰性かを調べます。
p16陰性(喫煙や飲酒が原因)の中咽頭がんは、中高年の男性に多く見られます。一方で、p16陽性(ウイルス感染が原因)の中咽頭がんは、比較的若い方や女性にも増えています。自覚症状は、初期にはほとんどありません。がんが大きくなってくると、首のしこりや扁桃腺の腫れという自覚症状があらわれます。扁桃腺の腫れは、片側のみである方が多いです。飲み込むときの違和感や、長く続くのどの痛み、耳の痛み、声の変化などで気づく方がいらっしゃいます。歯科健診や胃カメラ検査で発見されることもあります。

しかし、のどに違和感がある方は多いものの、実際には、がんが違和感の原因であることはそれほど多くありません。また、中咽頭がんをはじめとする頭頸部(頭から首、のどにかけての部位)がんの専門医は全国でも500名ほどしかおらず、中咽頭がんは早期発見・早期治療が難しいがんのひとつです」

<中咽頭がんの治療法>
主な治療法は手術と化学放射線療法(化学放射線療法:化学療法=抗がん剤による治療)と放射線治療を組み合わせた治療法として、次のように解説しています。
「中咽頭は話す、飲みこむために重要な役割を果たしています。そのため、がんを取り去ることと同時に、機能を残すことも重要視されています。どの治療法にもメリット・デメリットがあるので、患者さんの状態にあわせ、丁寧に検討します。また中咽頭がんは、食道がんや胃がん、肺がんと重複して発生することが多いことがわかっています。そのため、治療計画を立てるにあたっては、他の部位にもがんが無いかしっかりと検査をします。

中咽頭がんの手術は、がんが小さく、表層にとどまっている場合には、口から器具を入れてがんを切除する手術をします(経口的切除術)。がんが進行していると、首の外側からがんを切除する手術になります(外切開手術)。切除する範囲が広くなりますので、必要に応じて、太ももやおなかから筋肉と皮膚を移植して外見や機能の改善をはかります(皮弁形成術)。中咽頭がんは頸部リンパ節(首のリンパ節)に転移することが多いがんです。リンパ節に転移している場合や、転移の可能性がある場合などには頸部リンパ節も切除します(頸部郭清術)。

<中咽頭がんのロボット手術【TORS】>
切除範囲が広い場合には、声を出す、飲みこむ」などの機能が損なわれることがあります。上尾中央総合病院では、がんの制御、機能温存、整容面(見た目)の満足に重点をおいて診療にあたっています。

内視鏡手術支援ロボットダビンチ

患者さんの暮らしは治療後も続きます。がんを確実に切除すること、極力機能を温存することを両立させ、会話や食事を楽しむ日常を1人でも多くの患者さんに送っていただきたい。その思いから耳鼻いんこう科・頭頸部外科で、内視鏡手術支援ロボットダビンチによる経口的ロボット支援手術(Transoral Robotic Surgery ; TORS)を開始しました。

ロボット支援手術では、口にロボットアームを入れてがんを切除します。いままでの経口的切除術よりも、込み入った動作がスムーズにできることが最大の利点です。狭い口腔内が拡大され立体的に見えること、360度自由に動くロボットアームが微細な動作を行えることから、がんの周囲に適切な安全域をつけて切除でき、今まで以上にのどの機能を温存できる可能性が高まります。

中咽頭がん以外には、下咽頭がん、喉頭がんもTORSの適応となります。しかし、リンパ節節外浸潤がないリンパ節節外浸潤:リンパ節に転移しているがん細胞が、リンパ節被膜を越えて広がっている、または、リンパ節周囲の軟部組織(筋肉や血管、脂肪組織など)に浸潤している状態、放射線治療を受けていないものに限られ、すべての患者さんに提供できるものではありません。TORSを一人でも多くの患者さんの選択肢にできるよう、早期発見・早期治療にむけて他の診療科や近隣医療機関との連携をより一層深めてまいります」

ナチュラルブレストが、乳がん患者向けの人工乳房の“海外からの
直接受注体制”と“写真で人工乳房に色付けする技術”を確立

乳がん患者向けに貼り付けタイプの人工乳房を製造販売しているナチュラルブレスト株式会社(所在地:福岡県福岡市、代表取締役社長:本田 幸恵)は、写真から人工乳房に色付けする技術を確立し、写真から色付けする技術の実施を、国内で1年半にわたり実行していることを明らかにしました。仕組み概要は以下の通り。

同社では、こうした背景について以下のように述べています。
「貼り付けタイプのリアルな人工乳房は、海外には無いもので、海外からの問い合わせが多くありました。そのため、4年前からJETROに支援をしてもらいながら、米国など契約先を探していましたが、現地での彩色技術者の育成などハードルがありました。写真から肌の色を再現して人工乳房に彩色することは困難でしたが、1年半の時を経て海外からの直接受注もできる彩色技術レベルとなりました」
<写真から人工乳房に彩色する技術>

人工乳房の色付け

「本来は対面で人工乳房を体に乗せて彩色しますが、本技術は写真を特殊なモニターなどを使い、本来の色合いを再現します。本人に会わずに人工乳房に彩色するため、国内の遠距離の場合のみならず、海外からの注文にも対応できることになりました。すでに米国には2012年12月よりFDA登録を完了しています。昨年は、英国と米国に有償サンプルを輸出しました」

ちなみにナチュラルブレストは、2014年7月に設立され、つけ義乳首、つけ義乳房、人体パーツの製造販売、輸出が主な業務。はばたく中小企業300社選出(経済産業省)、特許庁傘下INPIT重点支援企業、JETRO新輸出大国コンソーシアム採択企業(4年連続)に選ばれています。詳細は https://www.naturalbreast.co.jp/で。

がんサバイバー・クラブ メールマガジン第115号(2023年2月10日発行)
<日本対がん協会後援イベント>
【無料オンラインシンポジウム】これからのがん医療とケ アvol.4 
~がんについての正しい情報を知ろう、使いこなそう!~
「このがん情報、信じていいの?」「こんなこと、がん相談支援センターに相談してもいいのかな?」、そんな戸惑いに一緒に向き合い、がん患者さんと周りの方が抱える日々の 困りごとを軽減するために役立つ情報をご提供する、オンラインシンポジウムです。お申込みをお待ちしています。
■開催日時:2023年2月19日(日)13:00~14:30
■参加方法:オンライン
■参加費:無料 
■詳細・申込み:https://cosmopr-events.jp/cancer-symp04/ 
■主催:武田薬品工業
■後援:厚生労働省/東京都/公益財団法人日本対がん協会/国立研究開発法人国立がん研究センター
<LYMPH HAPPY DAYS!〜リンパ浮腫にHAPPYを〜>
3月6日の『世界リンパ浮腫DAY〜World lymphedema day』にちなみ、全国のリンパ浮腫に関わる団体、医療従事者、患者、企業などが、イベントやトークショー、オンラインセミナー、ワークショップ、座談会などを毎日行い、リレーでつなぐ1週間。最終日はリアルイベントを開催します。是非ご都合の良い方法でご参加ください。実行ボランティアさんも募集中!
■開催日時:2023年3月4日〜11日(土)
■開催方法:オンライン
■開催日時:2023年3月12日(日)
■会場:埼玉県川越水上公園・最明寺
■参加費:無料(一部有料イベントあり)
■イベント詳細:http://pr1.work/0/LHD
■3月12日イベントの申込み:https://lymphhappydays2023.peatix.com/view
■主催:LYMPH HAPPY DAYS!
■企画:一般社団法人キャンサーフィットネス/Body and Soul Positivity(リンパ浮腫患者コミュニティ)
■後援:公益財団法人日本対がん協会
<世界リンパ浮腫デー2023 リンネット「リンパ浮腫と就労」シンポジウム> 
「がんと就労」について社会の認識が進むなか、語られることがなかった、がんの後遺症「リンパ浮腫」患者の就労問題。浮腫を抱えながら仕事を続けることの困難さと大切さを当事者と各専門家が共に語りあいます。詳細は下記リンネットHPイベント・セミナーぺージに近日掲載予定です。
■開催日時:2023年3月11日(土)10時~13時
■参加方法:オンライン
■参加費:無料
■リンネットHP:https://lymnet.jp/
■主催:リンパ浮腫ネットワークジャパン
ゆる2トレプロジェクト 参加者募集中!>
がんサバイバーが運動をはじめるきっかけづくり、運動を続けること、そして体力づくりをして継続就労につなげていくことを目指し、がんアドボケートセミナーで出会った3団体が「ゆる²トレプロジェクト」を立ち上げました。
◇ゆる2トレプロジェクトとは?:https://www.gsclub.jp/tips/19797
◇オンラインゆる²トレーニング
オンラインでトレーニング動画を配信中!2月26日(日)はライブ配信も予定しています。
◇ゆる2トレ ウォークin 代々木公園
■開催日時:3月11日(土)10時~12時
■会場:代々木公園
■参加者:がん経験者等
■参加費:1000円(イベント保険、記念品費込み)
◇ゆる²トレウォーク online
スマホゲームで家の周りを歩いて体力づくり。仲間と一緒だと楽しく続けられるかも。
■各トレーニングの詳細・申込み:https://yuru2tre.com/
■共催:ReViv/ゆる2トレプロジェクト実行委員会
■協力:一般社団法人がんと働く応援団
みんなのがん教育@図書館 ~がん教育を図書館で>
人と情報をつなぐ「図書館」で、「がん」を中心にして語られる地域の方々の悩みごとを、人と人そして情報をつなぐことで解消する場所づくりを目指しています。生き方教育=がん教育。2022年度はあと2回です。
■みんなのがん教育の紹介:https://www.gsclub.jp/tips/19915
■開催日時:2月19日(日)14時~15時30分=「グリーフケアって知ってますか?」/3月19日(日)14時~15時30分=「助けて!と言える社会へ(がん×地域×図書館)」
■定員:各回30名(要事前申込)
■会場:愛知県名古屋市志段味図書館
■申込み:開催日2週間前より図書館カウンターまたは電話(052ー736ー6907)で。
■主催:がん哲学外来メディカルカフェ シャチホコ記念
<掲載シリーズ>
◆木口マリの「がんのココロ」
第68回 #病院の周り散策シリーズ(1)〜築地でワクワク!「国立がん研究センター中央病院」の周り」:https://www.gsclub.jp/tips/19878
◆村本高史の「がんを越え、”働く”を見つめる」
第13回 言葉を考える③「リスキリング」と「患者力」
https://www.gsclub.jp/tips/19867
◆佐々木常雄の「灯をかかげながら」
第22回 ヘビースモーカー Kさんのこと
https://www.gsclub.jp/tips/19840
 闘病記出版20年 星湖舎・金井一弘の 「読み逃したくない1冊」
第23回「日記に紡がれた心の物語」 
山本文緒著『無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記』 
https://www.gsclub.jp/tips/19723
◆ 癒しの空間 早春告げる 二月の花 
九州のNPO法人癒し憩いネットワークさまより、今月も季節のお写真を寄稿いただきました。https://www.gsclub.jp/comfort日本対がん協会 休眠預金活用事業  の実行団体より各種お知らせ>
◆【医療者対象 Workshop】患者に学ぶ「がんと性」
がん経験のある当事者の体験談をもとに、ともに考え、学ぶことにより、がんの進行やがん治療に伴い影響を受ける性(セクシュアリティ)の問題に関し、医療者として理解を深め、明日から役立つ支援を理解し行動できるようになることを目的として開催します。
■開催日時:2023年3月25日(土)13時00-15時30分(~16:00アフターフリートーク)
■募集人数:30名(応募者多数の場合は選考あり)
■参加資格:現在、医療現場でがん診療の実務にあたっている医療従事者
■参加方法:オンライン
■参加費:無料
■主催:認定NPO法人キャンサーネットジャパン
■協力:公益財団法人 日本対がん協会
■申込み(〆切2月20日)
■詳細:https://www.cancernet.jp/36765

子どもの健康・小児口腔発達を考える日本小児口腔発達学会(NPD)が発足
2月11日に『原因から考える口腔発達と未来』テーマに設立記念講演会

小児の口腔機能発達不全症の治療及び予防、そしてこどもの発達に関するすべての分野におけるプラットフォームを目指した活動を展開する、一般社団法人日本小児口腔発達学会(所在地:岡山県中区、代表:井上 敬介、略称:NPD)は、2023年2月11日(土)10時より、同学会設立を記念した講演会「Growth Optimization 原因から考える口腔発達と未来~NPDが提案する新しい小児歯科医療のカタチ~」を、TKPガーデンシティPREMIUM京橋(東京都中央区京橋2丁目2-1)にて開催します。
【問題は歯だけじゃない、全身の発達に深刻な問題を与える「小児口腔発達不全症」とは? 】
 昨今、こども達の多くがきれいな歯並びを持たずに成長しています。これは、実は遺伝の問題だけではなく、大人がもたらしたこどもを取り巻く社会や生活環境が影響しています。そもそも、こども達の歯並びの悪さは歯の問題ではなく、歯が生えている顎の骨の成長の問題です。顎の骨はまわりにある筋肉により、骨の大きさや成長方向を決定づけますが、筋肉が産まれてすぐの授乳の仕方や抱っこ紐の使い方、また様々な育児のサポートグッズにより発達を妨げてしまう現実があります。

 近頃で“お口ぽかん”という言葉もよく見かけるようになりましたが、実際にこども達のなかには、お口が開いて唇が1年中カサカサしている子も少なくありません。しっかりと発達していない頭蓋顔面周囲の筋肉は、付随する骨格の成長はもちろんのこと、噛む・飲み込む・話す・呼吸する・寝るという、生活機能まで阻害してしてしまうのです。

 結果として歯並びの問題だけに留まらず、正しい鼻呼吸ができないことで、こどものうちから睡眠時の様々な障害を引き起こし、倦怠感ややる気のなさ、または落ち着きのなさや学力・意欲の低下にも繋がっていると言われています。さらにこれらを発達の問題としてグレーと呼ばれてしまうこどもたちまでいる状況です。近年では、保険診療にも「小児口腔発達不全症」が加わりましたが、国としても将来の様々な病気の根源として大きく捉えています。

 これらの問題は、正しい発達の知識を持ったうえで子育てするだけでも、成長は大きく変わってきます。また、この病名に対して改善を目指す歯科医院も増えてきています。この度、我々小児の口腔発達を専門とする歯科医師20人は、この問題に対して警鐘を鳴らすとともに、“根本的原因の改善”を目指すため、一般社団法人日本小児口腔発達学会(NPD)を発足する運びとなりました。
NPDは、2023年2月11日に発足記念講演会の開催を皮切りに、多くの歯科医師やこどもに関わる専門家を集め、共に多くのこども達の健康的な発達を目指すための活動を開始いたします。

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