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専門医と3人の乳がん体験者による『わかる乳がん~わたしにあった治療の見つけ方』を取材しました

 乳がん疾患啓発イベント『わかる乳がん~わたしにあった治療の見つけ方』が、乳がん情報へのアクセスを支援するためLINEアカウント『わかる乳がん』の提供を開始したアストラゼネカの主催で開催されました。演者は、がん治療だけでなく、がん患者さんや家族に対する相談や課題解決に取り組む専門医の清水千佳子さん(国立国際医療研究センター病院乳腺・腫瘍内科診療部長)と3人の乳がん体験者(増田美加さん、鈴木美穂さん、だいたひかるさん)。

写真右から清水千佳子さん、鈴木美穂
さん、だいたひかるさん、増田美加さん

 イベントのトップに登壇した清水医師は、『乳がんの基礎知識』と題し、乳がんとはどのような状態なのかから話を進め、「1~3期で手術可能と診断されたら、薬との併用、状況によって放射線治療をして経過を観察しながら治療を進めていくことが大事。治療の目標は、出来るだけ長く元気で生きられることです」と話す傍ら、「治療の際に患者さんは、結婚、妊娠、仕事なども考えなければならないので、自身が納得した治療法を行うことです」として、次のように締めくくりました。

 「乳がんの予後には、がんの広がり、形態、性質などが関与しますが、人それぞれ違い。薬の治療は、がんの性質に応じて使い分けますが、治療の益として行われています。そしてがんの検査や治療は、がんになった後の人生、周りの人の人生にも影響しますので、科学的な情報を理解したうえで、自分の価値観と向き合って決める必要があります」

 イベントは、自身も乳がんのサバイバーでもある女性医療ジャーナリストの増田美加さんをファシリテイターとして、NPO代表・元報道記者・キャスターの鈴木美穂さん、「どーでもいーいですよー」の持ちネタで知られるピン芸人のだいたひかるさんが、自身の体験談を話しました。3人の話の内容は、次号に紹介することにしますが、それぞれのプロフィールは以下の通りです。

<増田美加さん>当事者視点に立った女性ヘルスケアや医療にかかわる執筆、講演を行うかたわら、乳がんや乳がん検診啓発に取り組み、認定NPO法人キャンサーネットジャパン乳がん体験者コーディネータとして活躍されています。NPO法人女性医療ネットワーク理事、マンマチアー委員会を主宰し、NPO法人乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)副理事長、NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。増田美加オフィシャルサイト:http://office-mikamasuda.com/

<鈴木美穂さん>2008年、24歳で乳がんと診断されました。2009年に若年性がん患者団体『STAND UP!!』を発足。2016年には、東京・江東区に、がん患者さんや家族が訪れて無料で相談できる『マギーズ東京』をオープン。がんに影響を受けた人を支える活動を続けています。認定NOP法人マギーズ東京:https://maggiestokyo.org/

<だいたひかるさん>「どーでもいーいですよ―」の持ちネタで知られるピン芸人。R-1グランプリ初代王者。2014年から不妊治療を始めたが、2016年にステージ2Bの乳がんと診断され中断。右乳房の全摘手術をするが、全適した右胸にしこりが見つかり2019年に再発。2020年に放射線治療を一時中断し、不妊治療を再開。2021年5月に第一子を妊娠。2022年1月に出産。

 イベントは、専門医のわかりやすい解説と乳がん患者さんの体験談、そしてトークタイムもファシリテイターの増田さんのリードで、活発な話し合いが進められるなど、1時間半があっという間に過ぎてしまいました。家庭内でも乳がんに対する家族の話し合いが重要だと思いました。(文・山本武道)

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