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9月1日 編集長からのメッセージ

医療過疎地域への災害対策医薬品供給車両(モバイル・ファーマシー)稼働へ前進

 ドラッグストアランキングトップのウエルシアホールディングスが、日々の買い物に不便を感じている高齢者の生活支援として、静岡県内の中山間地域で日用品などの販売に加え、薬剤師らによるオンライン相談や医薬品販売も行い、高齢者の生活支援や見守りにつなげられる薬の移動販売車の運用を始めました。

 ウエルシアでは、実は過疎地対策として岐阜薬科大学との共同で保険薬局の調剤室と同等の設備をもつ災害対策医薬品供給車両(モバイル・ファーマシー)を製作していますが、平常時での稼働はありませでした。

 もともと災害対策医薬品供給車両は、2011年3月に発生した東日本大震災を契機に、宮城県薬剤師会によって通常の調剤と医薬品の供給が可能な医療支援ユニットとして登場し、その後、相次いで各地の薬剤師会で制作されたものの、法律の壁があって医療過疎地域への活用ができなかったからです。

 ところが岐阜市長(岐阜薬科大学附属薬局)が、厚生労働省に申請していた『災害対策医薬品供給車両を用いた過疎地域における調剤モデルに関する実証』が、この8月30日に認定されたことで、通常時での活用について「患者さんや医師の利便性が向上し、医師と薬剤師によるダブルチェックや適正な在庫管理などの医薬分業のメリットを、医療過疎地域でも享受することが可能になり、全国での導入も進み、結果的に災害対策となることも期待できる」との見解が明らかにされました。

 これまで人口減少により薬局が経営できる環境にない医療過疎地域では、医薬分業の確保が困難であり、多くの場合、診療所の医師が一人で診察から調剤、投薬まで行っていたため、医師に過度の負担がかかり、医薬分業の観点からも医療の質の確保が課題となっていました。

 実証は、保険薬局が存在しない医療過疎地区に派遣された災害対策医薬品供給車両で、保険調剤を実施することの有用性を明らかにすることを目的としたもので、医療過疎地域の岐阜県山県市伊自良地区に開院する協力医療機関の伊自良北診療所から9.4kmの地点に最寄りの薬局が存在しているものの、開局時間が9時~12時30分、16時~19時半であることから、免許返納など同診療所を利用する高齢患者が処方箋を交付された処方箋を最寄りの薬局や他の薬局で、薬剤師から調剤・薬剤の交付を受けることは困難であるとのイメージで行われます。

 実証結果によって災害対策医薬品供給車両は、災害時だけでなく平常時でも交通条件および自然、経済、社会的条件に恵まれていない山間地や離島などの地域で、かつ医療を確保することが難しい過疎地域おける活動が可能になれば、医療過疎地域で高齢化が進む住民たちに朗報といえましょう。

 さて今週もまた、みなさまにとって「もっといい日」でありますように・・・

              『週刊がん もっといい日』編集長 山本武道

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