一般社団法人がんチャレンジャー(花木裕介代表理事)が、多数のがん罹患経験者の協力を得て行った『キャンサーロスト』に関するアンケートによれば、「がん罹患によって、あなたにはこれまでにキャンサーロストといえるような喪失体験がありましたか?」の質問に対して、約8割が「がん罹患による喪失体験を経験した」と回答していることがわかりました。
キャンサーロストとは、「がん罹患によって失ったものや機会」を表す一般社団法人がんチャレンジャー(https://www.gan-challenger.org)による造語で、調査は2022年4月13日〜5月15日に、がん患者団体などに所属していた、がん罹患経験者向け情報に触れたりしているがん罹患経験者507名(男性9.9%、女性90.1%)を対象に、Web活用によるインターネットで実施されたものです。
調査結果は、2022年6月7日に同法人のニュースリリースで配信されましたが、『週刊がん もっといい日』編集部では、調査対象のがん罹患患者の8割が、キャンサーロストによって失職や退職、妊娠や趣味(旅行、おしゃれ)などの機会を逸した、収入が減った等々(左表参照)の喪失体験に対して、「乗り越えられた」とする回答が約3割にとどまったこと。さらに周囲の理解を得られなかったり、心無い言葉をかけられたりした経験者が4割弱存在していることが浮き彫りになったことから、『週刊がん もっとい日』編集部では、改めて周囲の人が思いやりを持ち、がん患者さんに寄り添う必要性から、あえて調査結果を紹介しました。
「がん罹患経験者の方々が、健康面の他に何を失い、それに対してどのように感じていらっしゃるのか、周囲の方からの反応はどうだったのかなど、がん罹患経験者の抱えるキャンサーロストにフォーカスし、アンケートを実施した結果、507名のがん罹患経験者の方々よりリアルな声を寄せていただくことができました。ぜひ今後、本調査結果を、個人として、組織・団体として、医療機関として、がん罹患経験者にかかわる際のヒントにしていただけたら幸いです。また、ご自身ががん罹患経験者の方も、ぜひ今後の参考にしていただければと思います」(一般社団法人がんチャレンジャー)
同法人では、調査から見えてきた課題について以下の通りに述べています。
「弊法人では、これまでも、がん罹患経験者に関わる方に対して、「寄り添い方ハンドブックや寄り添い方体験談などを通して、がん罹患体験者へのかかり方のヒントを提唱してきましたが、今後は、がんりかん経験者の抱えるキャンサーロスにも意識を向けながら関わってもらえるような情報提供が求められていろと感じており、一層の工夫や発信に努めていきたい」
同法人では調査結果を無料公開(PDF版44頁)中です。https://www.gan-challenger.o (文・山本武道)