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がん体験レポート NPO代表で 元報道記者・キャスターの鈴木美穂さんのケース

乳がん疾患啓発イベント『わかる乳がん~わたしにあった治療の見つけ方』その2

 日本女性の9人に1人が乳がんに罹患する時代。乳がんに関わる知識は、女性として知っておくべきことですが、その情報の受信方法は様々です。こうしたなか、先ごろアストラゼネカとキャンサーネットジャパンとの共催で、乳がんに関する情報をわかりやすく一人でも多くの女性たちに乳がんの知識を学ぶための疾患啓発イベント『わかる乳がん~私にあった治療の見つけ方』が、乳がん患者さんとその家族、がんではないが乳がんについて学びたい人たち500名が参加し行われました。このイベントについては、前号(10月27日に配信)の『週刊がん もっといい日』でレポートしましたが、今回は引き続き医療ジャーナリストの増田美加さんをファシリテーターとして、認定NPO法人マギーズ東京代表、元報道記者・キャスターの鈴木美穂さんとピン芸人のだいたひかるさんが、がんの体験を報告しました。今回は鈴木さんのケースを紹介しましょう。

<ファシリテーターの増田美加さん(医療系ジャーナリスト>                   私は医療系ジャーナリストとして、これまで婦人科系のがんを経験された患者さんや医師、病院の取材を重ねてきました。私自身も乳がんを2006年に経験しておりますから、本日のテーマである『自分にあった治療の見つけ方』というトピックスは、本当に大切なことと実感しております。それでは、さっそくお二人にお話を伺いましょう。まずは、認定NPO法人マギーズ東京代表で元報道記者・キャスターの鈴木美穂さんからお話していただきます。

<鈴木美穂さん(NPO代表・元報道記者・キャスター)>                    「私は大学を卒業してから、日本テレビで報道記者とキャスターを3年前までしていましたが、入社3年目の時に乳がんになり、その時に大変な思いをしたことをきっかけに、がんに関する様々な活動をしてきました。その一つに東京マギーズがあります。がんで影響を受けたすべての方々に対して、無料で科学的根拠に基づいて医療の専門家に相談できるセンターを運営しています」と鈴木さんは、自身のがん体験を通じ、治療法で悩み、乳房を切除するか温存できるのか、妊娠は?等々に、女性患者さんが知っておくべきことについて話しました。

 鈴木さんは24歳のある日、胸にシコリを感じ診察を受けた際に、「明らかにやばい、と自分でわかるくらい、胸のなかに二つのがん(合わせて5cm)が映っていました」と語る鈴木さんは、「ごめんね」と両親に謝ることしかできなかったこと。さらに祖父母も含めてがんの罹患者がいない家系で育ったなかでの初めてのがん患者となり、「がんについて何も知らなかったなかで、がんになりましたので先が真っ暗。24歳のときでしたから、25歳で亡くなるかもしれない、あと数か月かもしれないと思うことしかできなかったことを今でも鮮明に覚えています」と当時を振り返り体験を報告しました。

 鈴木さんは、さらに「そのとき経験したことは、いろいろと治療方法で迷ったことです。大きながんでしたから、乳房を切除するか、温存できる可能性があるのではないか、治療の順番は抗がん剤を先にするのか、手術を先にするのか。先生によって意見がまちまちだったので、とても迷いました」と述べています。

鈴木美穂さん

「24歳でしたから、当たり前のように結婚して出産したい希望を持っていましたので、妊娠する可能性を残せないものだろうかと思いました。このような悩みがあるなかで、いるいろと考えました」

 最終的に鈴木さんは、右胸を全摘手術し抗がん剤治療、そして放射線治療、分子標的薬、さらにホルモン治療も長らく続けるなど標準治療のフルコースともいえる治療をしました。

 「結果的に私は8か月間休職し治療しましたが、自分の将来は真っ暗闇で、もう人生はこれで終わったような気がしていて、絶望感というか治療は大変でした」と闘病生活を話す鈴木さんは今、こうした体験を通じ、がん患者さんや家族、友人や同僚など、がんに関わるすべての人々が、治療のことはもちろん、がんに関する人生について恋愛や結婚のことなどなんでも、医療の専門家に無料で相談できるマギーズ東京のマギーズセンターを運営するなど様々な活動をしています。

 ちなみにマギーズセンターは、マギーズ東京のサイトによれば1969年に英国で生まれました。創設者は造園家のマギー・K・ジェンクスさん。自身のがん体験から「治療中でも、患者ではなく一人の人間でいられる場所と、友人のような道案内人がほしい」と願ったことがきっかけだったそうです。現在では、英国内に20か所以上、香港やスペインなどへ広がっています。日本には、2016年、初めて日本にオープンしたのがマギー東京です。

 マギーズ東京は、訪問看護師の秋山正子さんが、2008年にマギーズセンターを知り「日本にも必要!」と活動を開始し、2011年に「暮らしの保健室」を新宿に開きました。そこで、テレビ報道記者でがんを経験し、思いを同じくする鈴木美穂さんと2014年に出会い設立されました。              ■マギーズセンター https://maggiestokyo.org/center                       ■東京マギーズ https://maggiestokyo.org/about)によれば、

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