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乳がん患者さんに向けた使い捨ての入浴着のこと

 日本人の温泉好きは、ことさらいうまでもありませんが、ただ乳がん患者さんにとっては「術後に家庭での入浴はともかく、温泉旅館の入浴場では切除された患部を見られることに戸惑いがありました」として、「温泉が好きだが切り取られた乳房を見せて入浴できない」「ぜひ温泉に入りたいが、何とかならないか」等々、たくさんの乳がん患者さんからの声を聞いた評論家の俵萌子さんが、がんで乳房を失った女性たちが温泉に入り交流することを目的とした『一二の三で温泉に入る会』を立ち上げ会長となり普及活動を始めました。

 この会のことは『週刊がん もっといい日』の前身、雑誌『月刊がん もっといい日』でも掲載させて頂きましたが、2007年のある日に放送されたラジオ深夜便『心の時代』で、乳がんを患った経験のある俵さんが、『一二の三で温泉に入る会』について話し、さらに自身のホームページで紹介し、参加者を募ったところ400名が集まったそうです。

 俵さんは2008年11月に亡くなられましたが、その後、乳がん患者さんが気兼ねなく温泉に入りたいニーズに応えて、使い捨ての入浴着の開発が進む中、2021年10月27日、『胸を失っても温泉に〜“入浴着”知っていますか?』のタイトルでニュースが放送されました。
 「胸を失った女性たちのために作られた入浴着 皆さんは知っていますか?」―レポートしたのはNHK奈良放送局の及川佑子記者でした。及川記者は、一人の乳がん患者さんを取材し、やがて、その患者さんと大学の教授に企業が共同した入浴下着の開発ストーリーも紹介されています。詳しくは以下をご覧ください。https://www.nhk.jp/p/ts/RPGK957KLP/blog/bl/pBpEw5pXkN/bp/pbo6Nyxd0Q/

 「お風呂には、必ずしも裸で入らなくてもいい。誰もが気兼ねなく、温泉や銭湯を楽しめる社会へ。入浴着への理解が一層深まることを望まずにはいられません」―及川記者は結んでいます。

 長くなりましたが、この入浴下着の存在を教えて頂いたのは、在宅医療に従事し現在、帝京平成大学教授の小原道子さんでした。以前にも紹介させて頂きましたが、私の母も乳がんで左の乳房を切除しましたから、今考えると温泉に行った際に、周囲の目を気にしていたのではないかと思い、ぜひ開発企業に多くの乳がん患者さんに普及して頂きたいと願っています。

 幸い、ヘルスケア最前線を取材する佐藤健太記者が、ヘルスケアに特化した情報サイト『Hoitto!ヘルスケアビジネス』(発行:ヘルスケアワークスデザイン)で、「術後の乳がん患者に向けた入浴着が存在している。しかも、ワンコインで購入できる製品がある」と乳がん患者さんへの朗報を紹介し、「ヘルスケアや生活支援のプラットホームであるドラッグストア・薬局関係者は、ぜひ注目してほしい」と呼びかけています。
 そこで『週刊がん もっといい日』では、『今週の焦点』で『Hoitto!ヘルスケアビジネス』(https://hoitto-hc.com)に掲載された佐藤記者のレポートを紹介しましたので、ご参照ください。

さて今週もまた、皆さまにとって「もっといい日」でありますように…。

『週刊がん もっといい日』編集長 山本武道

 

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