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Craif社、検査サービス『マイシグナル®』シリーズ提供へ がん検査をもっと身近に、簡便に「体質」と「今の体の状態」で包括的ながん対策

 日本の高齢化が進展するなかで、2人に1人ががんに罹り、3人に1人ががんで亡くなっている。医学や医療の進歩によって、がんは早期発見できれば治る可能性が高く、経済的・身体的負担も軽くて済む。しかしながら、早期発見が大切とはわかっていても、医療機関での検査の負担や多忙、面倒くさいなどの理由をつけて受診を避ける人は少なくない。日本のがん検診受診率は40%程度と、その低さが課題となっている。がん検査をもっと身近に。そして検査のハードルを限りなく低くしたい――。コロナ禍での「非侵襲性」「迅速」「安心」をキーワードに、がん検査もさまざまなアイテムが登場している。中でも「一生」と「今」の2つの軸で、2つの検査の組み合わせとアフターフォロー体制を構築し、一生のがん対策をシームレスに実現する「がん活」を提唱するのはCraif(東京都文京区)だ。バイオの限界に挑む研究を通じて、「人々が天寿を全うする社会の実現」に向けた新たな検査サービス『マイシグナル®』シリーズを提供開始するにあたり、同社CEO・共同創業者の小野瀨隆一氏が開発の思いや総括的な事業内容、CTOの市川裕樹氏が、がん発生のメカニズムや新シリーズの開発背景・コンセプトをそれぞれ紹介した。(ジャーナリスト・石川良昭

■「技術で社会課題を解く」ことを通じ「人々が天寿を全うする社会の実現」
 細胞分裂の際の遺伝子異常が重なってがんは発症する。がんの発症メカニズムについては多くが知っていることだろう。だが、生活習慣の改善により、がんの予防が可能であることは科学的に示されているが、その正しい知識をもって行動している人は少ないのではないだろうか。たとえがんに罹っても、早期発見することで治る可能性が高いとはいえ、検診率が低いという事実は、行動を阻む理由がある。そうした課題を解決に導くのが、新たながん検査サービスに課せられた使命ともいえる。

 「簡便であることが重要で、自宅から送って、自宅で待つだけ。だけれども高精度な検査」が開発の1つのポイントで、「検診率が低い中で、限りなくハードルを下げ、我慢をなくすことが重要」と小野瀨CEOは言う。

   Craif社代表取締役CEO・共同創業者の小野瀨隆一氏(左)と          同社最高技術責任者CTOの市川裕樹氏

 Craif社は、2022年から自宅や全国約500の医療機関で『マイシグナル・スキャン(旧:マイシグナル®)』を提供してきた。小野瀨CEOは創業の背景をこう話す。
 「商社に勤めているとき、祖母が大腸がんのステージⅣで、発見後1か月もしないうちに亡くなってしまいました。その後まもなく、海外出張中に、祖父の肺がんが見つかり、立て続けに家族のがんが発覚しました。そのような体験があって、がんという社会課題を解決したいとCraifを創業しました」
 同社は、「技術で社会課題を解く」ことを通じて、「人々が天寿を全うする社会の実現」をビジョンに掲げているという。

■尿に含まれる微小な「マイクロRNA」に着眼
 開発では、「がん細胞の指令」に注目点を置いていることが大きな特徴だ。つまり、がん細胞が成長初期に出すシグナルをとらえること。そこで着目したのがマイクロRNA(miRNA)。がん細胞は、発生初期からがん種ごとに特有のマイクロRNAを放出するという。 
 だが、マイクロRNAは100万分の1ミリとも言われ、バイオ測定の限界の領域にあるという。Craif社では、この微小なマイクロRNAを安定的に、高い精度で検出できる基盤技術=Nano-IP(Nano intelligence Platform)を構築したことで、マイシグナル・シリーズの開発を成し遂げている。

 11月1日から提供開始されるマイシグナル・シリーズは、遺伝子検査とマイクロRNA×AI検査の組み合わせで、「一生」と「今」の2つの軸によるがん対策への検査サービスだ。つまり、がんのリスク要因には「遺伝的要因(生まれ育った体質)」と「環境的要因(今の体の状態)」の2つがあることから、遺伝的リスクを知ることで、自分の体質に合わせた「一生」のがん対策の指針を立て、加えて、日々変化する「今」の体の状態を定期的にチェックし、がんの早期発見につなげること。この2つを組み合わせて、一生のがん対策をシームレスに実現していくという。

 小野瀨CEOは、「2種類の検査とアフターフォロー体制を築き上げることで、一生のがん対策のパートナーとして、病に備える人を増やすとともに、今後は認知症や他の疾患にもサービスを広げていきたい」と抱負を語っていた。

◇マイシグナル®シリーズ(11月1日提供開始)
 「マイシグナル・ナビ」と「マイシグナル・スキャン」の2つで構成。尿やだ液を採取するだけで、体に負担なく総合的ながん対策を可能とする。まず自分の持って生まれた遺伝的リスク・生活習慣や環境リスクを「知る」ところから支援し、がんに対する正しい知識をもとに個々人のリスクに応じた予防のための行動変容を促す。そして、がんの早期発見をサポートすることで、生存率の上昇に貢献することを目指す。現在の対応がん種は、すい臓がん、大腸がん、胃がん、食道がん、肺がん、乳がん、卵巣がんの7種。
◇マイシグナル・ナビ:だ液中DNAを詳細に解析することで、7つのがん種から、体質的にどのがんになりやすいかを検査できる
◇マイシグナル・スキャン:尿中マイクロRNAをAIで解析することによって、今、がんに罹っているかどうかを評価できる

マイシグナル® – 尿のマイクロRNAで調べる次世代がんリスク検査 (misignal.jp)

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