東京・中野に、調剤薬局チェーンのファーマライズホールディングスの本社があります。ある日、同社の代表取締役社長の秋山昌之さんにお会いし取材をしました。その理由は、調剤薬局チェーンの同社が、鍼灸・マッサージ院を併設した店舗を開設しているからです。調剤薬局が、こうした治療院併設型店舗を運営しているケースは、おそらく同業他社ではないでしょう。
ではなぜ、調剤薬局が治療院を併設しているのでしょうか。秋山さんにお聞きしたところ、「処方箋調剤を主力とする当社と競合する企業との差別化策を考えていた際に、ふと私の両親が視覚障がい者だったことに加えて、企業における身体障がい者の雇用促進のため、思いついたのが鍼灸・マッサージ院の併設型店舗の出店でした」との答えが返ってきました。
この時に取材した内容は、https://hoitto-hc.com/3841/を参照ください。
実は視覚障がい者に関しては、私が執筆した書『ドラッグストア真価論〜誰もが健康で幸せな生活の実現を目指して』で、視覚障がい者のために開発されたシステムを普及する日本視覚障がい者情報支援協会(https://www.javis.jp)を紹介しています。音声コードリーダー多機能搭載の『らくらくホン』で、文字が読みづらい人たちが薬局を訪れた際に、医薬品情報を音声で読みあげてくれる仕組みです。
さらに最近、「総合病院カテゴリで世界初、東京都済生会中央病院に視覚障がい者の移動支援アプリ『ナビレンス』を導入」とのタイトルで、ニュースリリースが送られてきました。『ナビレンス』はスペイン発祥の移動支援アプリで、各所に貼られているアクセシブルなナビレンスコードを読み込むことで、目的地の内容・方向・距離などの案内が表示されるとともに音声で読み上げるものです。
普及する株式会社メジャメンツ(https://sunnybank.jp/)代表取締役の上濱直樹さんによれば、「海外では施設内の移動支援だけでなく、バスや電車の乗り場案内や時刻案内なども行われています。『ナビレンス』を使うことで、視覚障がい者が一人で移動する際の不安を和らげることができれば、より行動的になって視覚障害者の世界が広がります。そういったお手伝いをするアプリとなっています」とのことです。
このアプリは、病院だけでなくドラッグストアや調剤薬局、スーパー、ホームセンター、ショッピングセンターなど、様々な場所で使用することができますので、さらに普及・啓蒙に取り組んでほしいと思いました。(文・山本武道)