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全店へのオストメイト対応トイレ設置に取り組むウエルシアHD

 何らかの疾患や事故のために人工肛門や人工膀胱を造設したオストメイトの方々に対応するトイレの普及が進んでいます。オストメイトの方々は、日本オストミー協会の調べによれば全国に20万人といわれていますが、これまでのトイレの多くは健常者用で、腹部に装着したストーマ装具(パウチ)に貯まった排泄物を処理するトイレが少なかったのですが、近年では様々な施設へ導入されるようになりました。

 その背景には、2006年12月、2000㎡以上の建物に一つ以上のオストメイト対応トイレの設置を義務付けたバリアフリー新法(高齢者、障がい者などの移動の円滑化の促進に関する法律)の施行があり、さらに対象施設に不特定多数が利用する建築物にも広がり、公共施設や駅、ドラッグストア、コンビニエンスストア、ショッピングセンター、ホームセンター、百貨店、スーパー等々、多方面にオストメイト対応トイレの普及が急ピッチで進められています。

 もともとオストメイト対応トイレの普及活動は、日本オストミー協会によって始まりました。その趣旨は、オストメイトの方々が排泄処理のために装着しているストーマ装具から、排泄物や臭いが漏れたりするケースが外出時に発生した際に、緊急処置ができる設備をトイレに設置し、安心して外出できる社会環境を整備することです。

 オストメイト対応トイレの普及が進められるなか、ドラッグストアランキングトップのウエルシアHD(ホールディングス)では、現在、全国に展開する約1900店余りの75%、約1400店に設置されていますが、導入を決断されたのは池野隆光代表取締役会長でした。新規事業としてオストメイト対応トイレの設置に取り組んでいた企業の当時の会長と池野会長との話し合いで、ウエルシア店舗への導入が決定されました。

 考えてみればドラッグストアには、日々、買い物や相談に多くの生活者が来店しますが、なかにはオストメイトの方が来店するかもしれません。そこでウエルシアでは、健常者も利用できるオストメイト対応トイレの全店設置を決めました。むろん、オストメイトの方が来店されても、いつ来店するかは不確定ですし、来られても1日に一人か1か月に一人かもしれません。利益を追求する企業にとって、対応トイレ導入にはそれなりにコストがかかります。

 にもかかわらず、「オストメイト対応トイレの設置は、地域住民のヘルスケアステーションであるドラッグストアには欠かせません」と対応トイレ導入を決断された池野会長の英断に拍手を送りたいと思っています。

 ちなみにオストメイト対応トイレを設置したウエルシアの店舗は以下を参照ください。https://www.welcia-yakkyoku.co.jp/information/ostomate.html

 さて今週もまた、皆さまにとって「もっといい日」でありますように・・・

  『週刊がん もっといい日』編集長 山本武道

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