ある日、夜、入浴時に何気なく自分の胸を触ってみたら、しこりに気づき。「えっ」驚き、戸惑い・・・がんなのか? どこを受診する? これからどうなる?―こんな書き出しで始まる闘病記が、パレード(03−6485−0766)から発行されました。
同書は、2025年2月に浸潤性乳管がんと診断され、乳がん治療日記をつけ始め現在も闘病生活をしながら執筆活動を続けている素野久未(もとの くみ)さん著『生きるためのがんの作法〜標準治療を選択した私の日記』(四六判、本文194頁、定価税込1210円)。乳がんに罹患し治療1年目の経験と並行して日々の記録をもとに、時系列で次々とふりかかる状況や課題と一つひとつ向き合っていく「がんの作法」が綴られています。

発見編(痛みよりも、わからないことの方が辛い時もある)、入院手術準備編(わたし二・〇誕生)、入院手術編(綱渡りは下を見たら負け?!)、放射線治療編(がん治療のためだけに生きているわけじゃないから)、抗がん剤治療編(抗がん剤治療は・・・)の五編に分けて、さらに100項目に及ぶ自身の体験を克明に紹介しています。そして、項目には次のような一言が添えられていました。
「誰に相談して良いかわからない時には、まずはがん相談支援センターへ」「自分の体調には自分で責任を持つ」「自分のペースは大切に」「睡眠をおろそかにしない」「疑問、質問、放置しない」「家族や友人、周囲の支え」「周りへの感謝の気持ちを込める」「楽しいことを考えよう」「仲間で支えあう」「今は辛いけどきっと良くなる」「当たり前に無理なく過ごそう」「体づくり、心づくり」「生き生きとした生活を取り戻そう」・・・。
私の母は、30歳台で子宮がんを発症し、乳がん、大腸がん、胃腸がん、口腔がんなど7回の手術を受けました。8回目は80歳を過ぎてから食道がんに罹患。主治医との話し合いで、高齢であることから手術は避けましたが、終焉は自宅で88歳、50数年に及ぶがんとの闘病生活を終えました。
母には、がんであることは伝えておりませんでしたから、直接、がん患者としての一言を聞くことはできませんでしたが、きっと自身では気づいていたのかもしれません。そのようなことを思い出しながら、素野さんの書を拝読しました。
「治療のために生きるのか、生きるために治療をするのか―がんとの向き合い方、一緒に考えませんか」とまとめられた同書は、まさに、がんの悩みに寄り添う一冊であるいえましょう。ぜひ、一読をお勧めします。
さて今週もまた、皆さまにとって「もっといい日」でありますように・・・。
『週刊がん もっといい日』編集長 山本武道