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8割が乳がん傷痕をカバーする入浴着を知らないものの着用に肯定的な意見は9割以上 GSIクレオスが20歳以上の女性対象に入浴着アンケート

8割が乳がん傷痕をカバーする入浴着を知らないものの、着用に肯定的な意見は9割以上―乳がんなどの手術痕をカバーする入浴着『バスタイムトップス』シリーズの製造販売と啓蒙に取り組む株式会社GSIクレオスが、10月のピンクリボン月間に向けて20歳以上の女性を対象として実施した入浴着に関するアンケート調査によれば、厚生労働省がポスターなどで啓蒙しているものの、乳がん体験者の81.7%、乳がん経験者以外の女性の81.7%の人が「入浴着を知らない」と回答し、未だ認知が進んでいないことが明らかになりました。

日本人女性の9人に1人が乳がんに罹患している時代。乳がんの治療の基本は、外科手術によってがんを取り除くこと、そして標準的な手術方法は乳房温存手術または乳房全切除術とされているが、同社の調査でも乳がん経験者1176人のうち、外科治療を受けた人は8割余りの946人と非常に多いことがわかりました。
 「乳がんは、肉体的にも精神的にも大きなダメージを受ける病気です。乳房を切除することによる急な見た目の変化は、女性として耐え難い苦しみとなります。手術によって胸に傷が残り、これまで当たり前のように入っていた温泉や公衆浴場をためらってしまうことも辛い点の一つです。最近では、乳がん等の手術痕をカバーしてくれる専用の入浴着がありますが、残念ながら世間ではまだあまり知られていません」と同社ではコメントしています。

多くの人が「本当は入りたいのに公衆浴場での入浴を避けている」ことが判明
アンケートの結果では、入浴着の認知度について乳がん経験者以外の女性で「入浴着を知らない」が81.7%と、まだ一般的にられていないことが明らかになる傍ら、乳がんの手術体験者の72.7%が「入浴着を知らない」とし、9割が「使ったことがない」

と回答。宿泊施設や銭湯など公衆浴場での入浴については、「胸の傷が周囲からどう思われるか気になる」との回答は74.8%、そのうち「気になるので避けている」が46.3%で、多くの人が「本当は入りたいのに公衆浴場での入浴を避けている」ことが判明しました。
 「厚生労働省は、入浴着の使用は衛生面で問題はないとし、自治体や入浴施設事業者、利用者に対してポスターなどを通じて

理解や配慮を呼びかけています。しかしポスターを見たことがあるという人は2割にとどまっていることから、社会のより積極的な取り組みが必要であることがわかりました」(同社)

9割超が「入浴着を着て入浴している人を見ても気にならない」

 「入浴着を着て入浴している人を見たことがあるか」との設問では、95.9%の人が「見たことがない」と回答。一方で入浴着を着用して入浴することに対して、「何か事情があるのだろう。気にならない」という回答が91.7%。アンケートの中には「娘と一緒に温泉を楽しみたいので今度使ってみたい(50代)」という意見もあり、乳がんなどの手術痕をカバーする入浴着の存在を、日々様々な健康相談に対応するドラッグストアなどでの普及の必要性があるでしょう。
 『バスタイムトップス』担当者は、「この調査が、乳がんに罹患した方の術後生活をより良いものにしようと考える機会になればと思います。アンケート結果からわかったように、入浴着の着用に対して肯定的な考えの方がほとんどです。周囲の認知と理解が広がれば使いやすいという意見が多かったことから、施設側にも理解と協力を呼びかけ、入浴着があたりまえに受け入れられる、やさしい社会の実現を目指します。」と話しています。
《アンケート調査概要》
🔹調査対象:全国20歳以上の女性計1416人(乳がん経験者1176人)/一般の方240人
※乳がん手術をした方を対象とした設問では、乳がん手術をしたと回答した946人から無作為に抽出した242人の回答データ採用🔹調査期間:2024年9月11日~9月14日
🔹調査方法:インターネット調査

<記者の目>
「1・2の3で温泉に入る会」を設立した俵萌子さんのこと
  乳房切除の傷跡が気になり、温泉に入ることを躊躇していた女性たちは少なくありませんでした。評論家でエッセイストの俵 萌子さんも、乳がん手術で乳房切除の傷跡が気になっていた一人でしたが、ある日、同じ経験者から「もう18年も温泉に入っていない」という一言から、そこで「温泉はみんなで入れば怖くない」と思いたち、「1・2の3で温泉に入る会」を設立したのは2001年11月のことでした。
 私がそのことを知ったのは、2006年に『週刊がん もっといい日』を創刊してまもなくのことで、当サイトで紹介させていただきましたが、俵さんは同じ思いの乳房切除をした人たちに、伊香保温泉への参加を募ったところ40数人が集まったそうです。88歳で亡くなった私の母は乳がんで乳房を切除しましたから、生存中にそのことを知れば、きっと参加したでしょう。 そして乳がん傷痕をカバーする入浴着のことも知っていれば、さっそく買い求めて温泉場に出かけたに違いありません。
実は、アンケートを実施したGSIクレオスが普及する乳がん傷痕をカバーする入浴着の開発には、乳がん患者だった一人の女性薬剤師が関わっています。「乳がん傷痕をカバーする入浴着がワンコイン(500円)で買える」と同社を取材した際に聞きました。
 乳がんの手術で乳房を切除した女性たちが、その入浴着をつけて温泉に入り、笑顔で体験者たちと話しあっている光景を思い浮かべ、とても暖かい気持ちになったことを思いだします。(文・山本武道)

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