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地上400kmの宇宙空間で進む加齢に伴う疾患の改善と予防など人類の健康長寿研究活動

 地上から約400km離れた上空の宇宙空間に建設され、地球を1周約90分で回っている国際宇宙ステーション(ISS=International Space Station)。その中にある日本の実験棟『きぼう』で、生命の仕組みを解明し加齢に伴う疾患の改善や予防に役立つと期待される宇宙でのマウスを利用した研究概要が10月6日、東京で開催された近未来医療フォーラム(主催:シード・プランニング)で紹介されました。

 同フォーラムでは、これまでアルツハイマー病の診断・治療の将来展望や健康寿命延伸を目指した個別化医療、個別化予防に関わる認知症などを取り上げてきましたが、今回は国際宇宙ステーションにある日本の宇宙実験棟を活用し進められている、地上では得られない宇宙環境(微小重力)を利用した人類の健康長寿生活への貢献を期待して開催されたものです。

 国際宇宙ステーションは、アメリカ、日本、カナダ、欧州各国、ロシアなど15か国が参加して様々な実験や研究が行われていますが、宇宙では重さの負担がかからない微小重力環境での長期滞在によって、使われない骨は骨粗鬆症患者さんの約10倍、筋肉の場合、寝たきり患者さんの約2倍の速さで急速に退化・減少するなど、高齢者と類似した身体変化が起こることから地上での加齢性疾患の研究に役立つとして注目されています。

 高齢者人口の増大に伴い、骨や筋肉など運動器が衰えるロコモティブ症候群が増加する中、地上400kmの実験棟『きぼう』で行われているマウスを使った研究成果が、健康寿命延伸に結びつくことを期待しましょう。『きぼう』については、以下を参照してください。https://humans-in-space.jaxa.jp/kibo/

 さて今週もまた、皆さまにとって「もっといい日」でありますように…。
              『週刊がん もっといい日』編集長 山本武道

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