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三つのがん予防を「転ばぬ先の杖」として日常生活で心掛けてゆきましょう

「転ばぬ先の杖」という言葉があります。この言葉は、高齢者のための言葉のようですが、実は「転ばぬ先」とは、「病気にならないように気をつけましょう」であり、「杖」とは、食事・運動・休養などによる対策と私は受け止めています。

 日本は国民皆保険下にあり、誰もが平等に医療にかかることができますが、厚労省が明らかにした2023年度の国民総医療費は48兆915億円(前年度比+3%)に達し、3年連続で上昇しています。その要因は、悪性新生物(がん)、脳疾患系、心疾患、高血圧性疾患、糖尿病の五つの疾患で、総医療費の20%を超していることです。

思い起こせば、がん対策基本法が国会で成立したのは2007年でした。山本孝史参議院議員が参議院本会議で、自らのがんを告白し、法案の早期成立を訴えたことが始まりですが、基本法が施行されてから18年が経過した今、がんは1981年から死因の1位を続けています。

がん治療は、手術、抗がん剤、放射線の三大療法が主流で、医療技術はとてつもないスピードで進化し続け、多くの生命が救われてきました。これからも国民皆保険という世界に冠たる医療制度を維持し続けなければなりません。そのために今、重要なことは治療だけでなく国民一人ひとりが、自分自身で疾病にかからないよう、セルフケア、つまり自己予防の必要性が指摘されています。
 
増え続くがん。国も早急な課題として、がん対策を推進してきましたが、私たちも、日頃から、がんに罹患しないよう自己対策をしなければなりません。食事、運動、休養によって自己免疫を高め病気にならない体づくり、健康な状態を維持する一次予防、がんリスクの早期発見・早期治療の二次予防、そして、もしもがんになったら、転移・再発をしないためにはどうしたら良いかー三次予防の三つがあります。

これからは、特にがんリスクの早期発見・早期治療が重要になります。地方自治体が実施する定期的検診ですが、「忙しい」「行くのがめんどう」「うっかりして忘れた」等々、怠るケースが多いようです。都内のドラッグストアでは、がん検診率向上を目指して、店頭でクイズ形式による「定期検診の気づき」対策をサポートしていますし、近年では、大腸がんなどのリスク検査キットの販売に対応するドラッグストアや調剤薬局も少なくありませんから、買い物のついでに相談してみることも良いと思います。

 三次予防については、一次予防による自己の免疫力を向上させること、二次予防の実践に加えて再発・転移の有無のために遺伝子検査を受けてみる、そして常に様々な情報を入手しておくこと、心配なことがあったら、医療機関にかかり医師に相談する、日本対がん協会の『がん相談ホットライン』、がん患者会主催の集まりに参加すること等々…。
  

 治療は医療機関ですが、予防は私たち自らの手で実践していけます。がん予防の三つを「転ばぬ先の杖」として、日常生活で心掛けてゆきましょう。
 さて今週もまた、皆さまにとって「もっといい日」でありますように・・・。
                        『週刊がん もっといい日』編集長 山本武道

 

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